6号線

兄は農業関係の研究者。
ずっと北海道にいたけれども、原発事故があってから新しく作られた福島の研究センターで農業放射線研究をしている。
震災後、一度も東北に来ていなかったので現状を見るべきかと兄に相談するとやはり福島の海岸線を走って見てきて欲しい、と言われた。
今後ニュースなどを見た時に実際目で見ていると見ていないでは感じ方が違うだろうからと。

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母は義姉に五色沼散策に連れていってもらい、私はドッグランサムで午前中楽しく過した後、ひとりで6号線へ向かった。

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国道6号の双葉町-富岡町間(約14キロ)については、帰還困難区域だった場所で先月から車の通行のみ通過出来るようになった区間。

6号線はむしろ渋滞しているぐらい車の往来が多かったけれども、この区間にさしかかると皆無言でアクセルを踏むのだろう、流れに乗って走ったが気がつくとメーターは100キロを超えていた。
数十分毎にパトカーとすれ違うけれどももちろん止められることはない。

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二輪車、歩行者は通行出来ず、側道には全てバリケードされていて曲がれない。
ゆえに信号はずっと黄色の点滅が続く。

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3年手付かずの家、田んぼ、お店、車。

青い空の元に眩しいほどのセイタカアワダチソウがずっと広がるあの真黄色の光景はずっと忘れない。
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その区間の手前の町には仮設住宅が並び、人々の生活がそこにある。
なぜか、涙が止らなかった。
除染も進み、試験農地の検査もクリアーして来年は作物を又栽培出来るようになるらしい。
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軽々しいことは言えないけれども、そこに行った事はニュースなどを見て今度何かを考える時に、兄の言う通りに意味があるのだろう。

大きな福島県をほぼ北から南へ6号線を何時間も走り
心身ともに疲れたけれども、思い切って行ってよかったと思っている。

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